文字サイズ

政策提言

秦野商工会議所では、地域経済の振興を目的に意見・要望活動を行っています。

令和4年度の意見・要望活動報告

陳情

要望

陳情

神奈川県の最低賃金額審議に関する陳情

  1. コロナ禍が長期化する中で、原油価格の高騰や円安基調が重なり、さらにロシアのウクライナへの軍事侵攻による資源、穀物等の価格上昇が、我が国経済に大きな混乱をもたらしています。経営基盤のぜい弱な中小企業・小規模事業者にとっては、これまで以上の収益圧迫が懸念されており、事業の継続と雇用の維持に対する継続的な支援が求められます。
    当所が実施した昨年末時点の中小企業景況調査によると、景況感は全体的には若干の改善が見られたものの、製造業や建設関連業種では原材料単価の値上がりの影響が続いていることなどから、先行きの不透明感は拭えず予断を許さない状況となっています。
    こうした状況下において政府は、成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現するため、最低賃金については、現在の全国加重平均額930円をできる限り早期に千円以上となるよう見直しに取り組んでいくことを表明しました。平成28年度以降の全国加重平均額は、コロナ禍の経済情勢が考慮された令和2年度を除き、毎年3%台の大幅な引上げが続いています。多くの中小企業・小規模事業者からは、決定プロセスにおいて、経営実態を十分に考慮した審議が行われておらず、政府の方針を追認しているに過ぎないとの厳しい声も聞かれています。
    現在、神奈川県の時間当たり最低賃金額は1,040円で、東京都の1,041円に次いで全国2番目の高い水準になっており、平成28年度から令和3年度までの6年間で135円上昇しました。
    令和2年度を除けば、平均で26.8円の大幅な引き上げが続いていることになります。また、隣接する静岡県の913円、山梨県の866円との間には大きな開きがあることから、経済圏が重なる県境の地域では、これら隣接県との賃金格差により入札等において著しい不利益が生じています。
    また、本市は県西域の経済圏に位置し、横浜市や川崎市などの都市部と比べ、地価、物価、賃金などに格差がみられ、経済や生活実態は大きく異なるにもかかわらず、最低賃金は県内同一と定められております。このことは公務員の地域手当や生活保護の受給額が地域(級地)により異なることからも合理性に欠けることは明らかです。
    最低賃金の決定に当たり、地域経済圏、さらには業種や企業規模等の経営実態の視点を取り入れたきめ細やかな制度の早期導入が望まれます。
    こうした中、神奈川県の最低賃金については、中央最低賃金審議会が示した目安額を、神奈川労働局長が神奈川地方最低賃金審議会に諮問し、その結果を受けて決定します。
    つきましては、審議にあたって次のとおり、市議会から関係機関に働きかけをいただきますよう陳情申し上げます。

陳情事項
1 コロナ渦やウクライナ情勢による影響を注視し、中小企業・小規模事業者にとって極めて深刻な問題である雇用の
  維持と事業の継続のために、最低賃金額は現行水準を維持することを含めて審議すること
2 神奈川県内同一額の最低賃金制度は、経済圏別、業種や企業規模別など、地域や経営の実態を踏まえたきめ細やか
  な制度として早期に再構築すること
3 最低賃金の決定については、客観的なデータに基づく検証を行い、暗に政府の方針に追従しているといった疑念が
  抱かれることのないよう、審議会のあり方や決定プロセスを見直すこと

提出先:秦野市議会議長 小菅 基司 様

提出日:令和4年5月11日

要望

首都圏中央連絡自動車道(圏央道)神奈川県未開通区間(高速横浜環状南線・横浜湘南道路)の整備促進等

道路は、社会資本として多様な機能を担っており、国民の生活向上と経済発展に大きな役割を果たしています。
圏央道は、昨年度までに全体の約9割が開通し、沿線では周辺道路の渋滞緩和のみならず、企業立地の促進や新たな観光需要の創出など、地域経済に好循環をもたらすストック効果が発揮されています。
神奈川県内の高速道路においては、昨年3月に、東名高速道路綾瀬スマートインターチェンジが開通しました。また、本年4月に、新東名高速道路(新秦野IC~伊勢原大山IC)が開通したことにより、沿線地域の観光地へのアクセス性が向上し、観光活性化に寄与するとともに、物流効率化による生産性向上と企業立地の促進が期待されています。
一方で、県内では、国道1号、国道134号などの主要幹線道路の交通渋滞による時間損失、経済損失のほか、沿線環境の悪化など改善すべき課題があります。特に、神奈川県の東西方向の交通は、東名高速道路及び国道16号(保土ヶ谷バイパス)などに頼っている状況であり、大きな課題です。両路線とも日本有数の交通量で、慢性的に渋滞が発生しているため、定時性が確保されておらず、物流や観光等の面で大きな損失が発生しています。
物流面では、圏央道の整備進展により、県央地域を中心に物流施設等の立地が進んでいますが、東名高速道路及び国道16号(保土ヶ谷バイパス)の慢性的な渋滞により、横浜港等への物流輸送の面で大きな支障となっています。
また、長引くコロナ禍においても市民生活を支える物流機能の必要性・重要性は高まっており、幹線道路のさらなる整備促進が不可欠となっています。
観光面では、新型コロナウイルス感染症収束後の観光の需要回復が期待されており、国内外の多くの観光客を、日本遺産の大山詣り、箱根八里のほか、湘南や鎌倉等の有数の観光資源に呼び込むため、安全で円滑に移動できる道路ネットワークが求められています。
また、国道を始めとした幹線道路は、東日本大震災や昨今の豪雨災害において、緊急物資輸送や復旧活動を支えており、その重要性が改めて認識されています。切迫する首都直下地震や激甚化・頻発化する大規模自然災害の発生が危惧される中、防災・減災対策の観点からも幹線道路ネットワークの整備が必要です。
以上により、圏央道神奈川県区間の未開通区間(高速横浜環状南線・横浜湘南道路)を早期に完成させるとともに、インターチェンジへのアクセス道路を一体的に整備することで、ストック効果を神奈川県内全体に拡大していく必要があります。
圏央道がもたらすストック効果を最大限に発揮し、災害に強く安全・安心で力強く持続的な経済成長を実現するとともに、豊かで暮らしやすい地域づくりを実現するため、次の事項を強く要望します。
     
1 国の成長戦略及び地域の社会・経済活動の発展を支え、国土の根幹的な施設である圏央道神奈川県未開通区間
 (高速横浜環状南線・横浜湘南道路)について、財源を集中的に投資して国及び各事業者は完成目標が達成できる
  よう着実に執行管理を行い、早期の完成を目指し事業推進すること。
1 別に記載する圏央道と一体的に整備が必要なインターチェンジへのアクセス道路の事業費を確保すること及び補
  助制度をさらに拡充すること。
1 真に必要な道路整備を積極的に推進するために、安定した財源確保と予算枠拡大を図り、神奈川県を始めとする
  首都圏への重点的な配分をすること。

提出先:国交省関東地方整備局
提出日:令和4年7月

 

神奈川県最低賃金に係る異議申出書

内 容

1 異議の内容
神奈川地方最低賃金審議会の意見は、本県最低賃金額を現行の1時間1,040円から31円増の1,071円に改定しようとするものであり、時間額単独方式となった平成14年度以降で最大の引上げ幅である。
新型コロナウイルス感染症の再拡大、資源や原材料の価格高騰が続く中、非常に厳しい経営を強いられている県内の中小企業・小規模事業者にとって、今回の意見内容は、現下の経営実態を十分に考慮したものとは言い難く、これを容認することはできない。
2 異議の理由
(1)本市事業所の景気動向は、当会議所が実施した「中小企業景況調査」(令和4年4月から6月)では、全業種総合
   の売上DIは▲10.6を示し前回調査と比べて0.8ポイント改善したものの採算状況DIは▲18.3で前回より6.9ポイ
   ント悪化した。来期(令和4年7月から9月)は、それぞれ▲17.2、▲23.9と悪化を見通している。
(2)中央最低賃金審議会では、賃金上昇率のランク計1.5パーセントを目安額検討のための根拠データの1つとしている
   が、本県が属するAランクは、1.4パーセントであり、更には令和2年度(コロナ禍の影響を受けた令和3年度は
   非対象とする)の1.5パーセントから下降している。一方、ランク計は1.2パーセントから上昇しており、状況は異
   なっている。
(3)最低賃金の大幅引上げ(31円増)による人件費の負担急増は、長引くコロナ禍に加え資源や原材料の価格高騰の中
   で事業の存続に懸命に努力してきた地元の事業者にとって、非常に厳しい内容といえる。国等による支援策が終わ
   りつつあり、これまでの融資に対する返済が本格化するにつれ、一気に倒産が増えることが危惧される。さらに、
   中小企業・小規模事業者が、賃上げや原材料等の値上げを適切に価格転嫁できる環境が未だ構築されていない。
(4)本市は県西域の経済圏に位置し、横浜市・川崎市の都市部と比較して地価・物価・賃金などの経済事情は大きく異
   なる。
   現行の最低賃金制度は、地域経済圏、業種や企業規模等の経営実態等の視点を取り入れたきめ細やかな制度となっ
   ていない。

提出先:神奈川労働局

提出日:令和4年8月22日

令和5年度神奈川県予算・政策に関する要望について

  1. 国道246号バイパス(厚木秦野道路)建設促進の働きかけについて
    国道246号は、本県の中央を東西に横断する広域幹線道路であり、今日まで本県産業、経済を発展させるとともに、住民の生活道路として重要な役割を果たしてきました。しかし現在では、交通量の増大により慢性的な交通渋滞が生じています。本市においても名古木・柳町間は、生活道路との平面交差点が多く、朝夕を中心に走行速度の低下等による交通渋滞が日常化しており、混雑を避けた車両が生活道路に流入し、安全を脅かすなど市民生活への悪影響や、物流の停滞による経済的損失を招いています。
    国道246号バイパスは、平成8年6月に全線が都市計画決定され、すでに厚木市、伊勢原市及び当市の一部区間については事業化されていますが、未だ秦野中井インターチェンジから秦野西インターチェンジ(仮称)の計画区間は全線事業化に至っていません。
    国道246号バイパス早期開通は、国道246号の慢性的な交通混雑の緩和と交通混雑に起因する諸問題の解決に大きく寄与することとなります。更には、未事業化区間に整備が予定されている渋沢インターチェンジ(仮称)は、本市製造業の約9割が集積する3か所の工業団地(曽屋原、堀山下、平沢)に近接しているため、東名高速道路、新東名高速道路及び圏央道と有機的に結合し広域交通ネットワークが充実することにより、企業活動の効率性を高め、生産性の向上、既存企業の事業拡大や新たな企業立地・雇用の創出など地域経済の発展に市民、産業界ともに大きく期待しているところであります。秦野市域内の未事業化区間6.9kmの早期事業化、全線整備に向け、関係方面に働きかけ下さいますよう要望いたします。
  2. 新東名秦野丹沢サービスエリアの売店地元スペース確保の働きかけについて
    新東名高速道路整備事業につきましては、中日本高速道路株式会社により施工され、秦野市域内においても、令和4年4月16日には、伊勢原市の「伊勢原大山インターチェンジ」から「新秦野インターチェンジ」までの約13kmが開通。秦野丹沢スマートインターチェンジの共用も開始され、本線の工事とともに秦野丹沢サービスエリアは、開業に向け工事が進んでいます。
    秦野丹沢サービスエリアは、県立秦野戸川公園と隣接して設置され、丹沢の山々と、相模湾を一望することが出来るロケーションの中、地域観光・産業振興に大きく寄与するものと期待され、秦野市農業協同組合と商工会議所では農商工が連携し有効な利用法を協議しております。
    つきましては、平成22年2月の県との包括的提携協定に基づき、秦野丹沢サービスエリアの施設整備の売店設置にあたり、地元関係者のスペースが確保できるよう、関係方面に更なる働きかけをいただきますよう要望いたします。
  3. 県道705号(堀山下秦野停車場)秦野駅前通り道路整備事業について
    県道705号(堀山下秦野停車場)の拡幅整備事業地区に位置する秦野駅前通りは、当市本町地域の玄関口として、また中心商業地区の主体な道路として重要な役割を担う道路です。
    現在、県施工による拡幅と歩道整備の工事は、2工区に分け進捗中ですが、すでに用地確保が完了している第1工区は、歩道等を含め道路形状を整備した上で、早期に車道の対面通行を開始していただきたい。また、第2工区については早期の工事着手を重ねてお願い申し上げます。
    この拡幅整備が完成すれば、駅周辺道路の朝夕の交通渋滞が緩和され、交通の利便性向上により、市民の生活行動が変わると思われます。更には、人流を生み出す集客施設等の誘致や、安心して買い物ができる商店街の形成などにより、中心市街地のにぎわいを創出し、生活と産業が調和した活力あるまちづくりが促進されるものと大いに期待しているところであります。
    つきましては、一日も早い全区間の整備を重ねて要望いたします。
  4. 都市計画道路 渋沢駅前落合線(県道丹沢公園・松原町線)の渋沢駅入口交差点の拡幅整備について
    渋沢駅を起点とする渋沢駅前落合線は、水無川の堀戸大橋を経て県道705号(堀山下秦野停車場線)の工業団地入口まで渋沢地域を縦断して延伸され、その沿道地域は住居系・事業所系・工場系の開発が進み発展している地域であります。また、国道246号と渋沢駅にアクセスする生活道路・産業道路として年々交通量が増大、重要度が増しています。
    しかし、国道246号との接点である渋沢駅入口交差点は、区画整理事業計画地区内に位置しているにもかかわらず、未だに計画通りの拡幅整備が成されていません。国道への右折帯が短いことから、朝夕や悪天候時の渋滞は激しさを増しており、渋滞を避けるために生活道路へ迂回する車両が周辺住民の安全を脅かす危険な状況にあります。また信号の待ち時間が長く、イライラを募らせたドライバーの無理な交差点への進入による事故も多発しています。このような状態が続けば渋沢地域の商工業、地域住民の生活環境にさらなる悪化を招いてしまいます。
    これらの状況を踏まえ、早急に同道路の渋沢駅交差点の拡幅整備を行い、道路機能の向上と地域生活環境等の改善が図られるよう、問題解決に向けた関係機関との調整を要望いたします。

提出先:神奈川県商工会議所連合会

提出日:令和4年10月

商工会議所会館修繕への財政支援について

当商工会議所会館につきましては、秦野市をはじめ関係機関並びに会員皆様のご支援により、平成10年(1998年)5月、旧会館があった市内落合から現在の地へ移転し、新たなランドマークとしてこれまで本市商工業の発展に様々な貢献をしてまいりました。会館は、当商工会議所が中小企業の支援、地域経済の活性化など地域総合経済団体としての目的を遂行するために必要不可欠な拠点施設の役割を担っているものであります。
また、会議室等の集会施設は、企業の会議、社員教育、各種団体の総会、健康診断会場等に幅広く利用いただいているほか、一般市民の皆様にも専用駐車場を備えた貸室・ホールとして提供しており準公共的施設の性格を有しています。
建設から20年が経過した平成30年(2018年)頃からは、経年劣化による建物内外の不具合が散見されるようになりました。以前から大規模修繕については、その必要性を認識していたものの、東京オリンピック・パラリンピック関連に起因する資材や人件費の高騰、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大などを考慮し、実施延期の判断をしてまいりました。しかしながら、令和3年度(2021年度)には悪天候により剝離した屋上防水床の改修工事、令和4年度(2022年度)は度重なる空調設備の稼働停止と補修用部品の保有期間終了への対応のため、空調設備更新工事を実施せざるを得ない状況となり、修繕積立金を財源にこれらの工事を行ってきたところです。
また、一般的に鉄筋コンクリート建築物は10年から15年ごとに大規模修繕が必要であるといわれる中で、当商工会議所会館は建設から既に24年が経過しており、外壁については、経年劣化によるサッシ廻りやタイル目地からの雨漏りが見られ、それにより内装(天井、壁、床等)の汚損や劣化が生じています。
令和5年度(2023年度)はこれに対応すべく、建物の外壁工事と内装工事を行います。
さらには当会館の各階トイレ便器の半数以上が和式であるため、和式トイレを敬遠される方が洋式トイレに集中し、時には順番待ちが発生するなどその非効率的な構成に対する指摘が多々あります。これらに対処し快適に利用していただくため、トイレの洋式化を進めます。
そのほか、照明類のLED化工事を実施しCO2の排出削減などに取り組みます。
いずれの修繕工事も現時点における喫緊の課題であり、当商工会議所が地域の経済団体として果たすべき責務、市民を含めた利用者へ提供するサービスの維持向上等のため、速やかに対処しなければならないものと認識し、令和5年度に実施するものです。また、これら修繕工事のほかに、後年度において、エレベータ2基及び自動ドア8か所について、修繕あるいは更新工事に取り組む必要があると考えており、その費用や実施時期について調査・検討を行う予定です。
令和5年度の修繕工事等に掛かる費用は、修繕積立金を令和4年度の修繕工事で全額使い切るため、財源としては財政調整積立金及び借入金に頼らざるを得ません。商工会議所が収益業務に制限がある経済団体という性格上、財政調整積立金は当商工会議所の安定運営のため、なくてはならない財源の一つであり、今後の財政運営に大きく影響する借入金と同様、できる限り少額での活用に止めたいと考えるところです。
なお、長引く新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の停滞、燃料・原材料等の価格高騰や円安による輸入物価の上昇を主因としたインフレが続く中、十分な価格転嫁ができず、従業員の賃上げさえも難しい状況にある中小企業・小規模事業者にとっては事業継続への深刻な影響が懸念されます。このような実状、及び会員企業の会費が財政調整積立金の積立原資や借入金の返済財源に含まれていることなどを考慮しますと、今回の修繕工事に対し、会員皆様に対して寄附等の支援をいただくことにつきましては控えるべきと判断いたしました。
つきましては、このような事情を推察いただき、市におかれましては、商工会議所会館の役割の重要性を踏まえ、令和5年度の会館修繕に対する積極的な財政支援をお願い申し上げる次第です。

提出先:秦野市長 高橋昌和 様
提出日:令和5年1月13日

ページトップ